ナレッジ

  • HOME
  • ナレッジ
  • <2024年8月>社団・財団通信_公益法人改革の最新状況「行政手続きの簡素化等、透明性向上について」

2024.08.30

<2024年8月>社団・財団通信_公益法人改革の最新状況「行政手続きの簡素化等、透明性向上について」

 改正公益認定法が2024年5月に成立し、2025年4月からの施行に向けて現在政令・内閣府令の改正やガイドラインの見直し、新会計基準の策定に向けた動きが着々と進んでいます。現時点(2024年8月時点)において公益法人インフォメーションのホームページ等で公開されている情報のうち、行政手続きの簡素化・合理化と透明性向上に関する動きに着目し、その中でも特に「変更認定申請と変更届出の範囲の整理」と「提出・公表書類の見直し」について概説します。

【1】変更認定申請と変更届出の範囲の整理

 改正前の公益認定法では下記の点に変更があった場合、公益法人は変更認定申請を提出するものとされてきました。

 

 ・A 公益目的事業を行う都道府県の区域(定款で定めるものに限る。)
     又は主たる事務所若しくは従たる事務所の所在場所の変更(従たる事務所の新設又は廃止を含む。)

 ・B 公益目的事業の種類又は内容の変更

 ・C 収益事業等の内容の変更

 

 今回の改正により、上記のC「収益事業等の内容の変更」は改正後は変更届出でよいとされます。

 また、上記AとBについては改正後においても変更認定申請が必要になります。ただし、B「公益目的事業の種類又は内容の変更」については、これまでは「変更認定申請書の記載事項の変更を伴わない場合は届出でよい」という実務的な基準がありましたがそれはやや不明瞭なものでした。今回の改正ではその基準は維持しつつも、新たに「申請書の記載事項を標準化(=記載を簡素化)」が規定されます。

 例えば事業内容についてこれまで細分化して記載していたものについて、今後は事業単位ごとに簡潔に記載するものとされます。また変動の生じやすい数値等の量的な情報についても基本的に申請書に記載不要とされます。これらの措置により、申請書の記載事項がより明確化されることが期待されるとともに、細かい事項の申請書への記載が不要になることから、事業内容等に変更があったとしても申請書の記載事項の変更を伴わないケースがこれまでより増えることが予想されます。そのためこれまでは変更認定申請が必要とされていた事業内容等の変更の場合でも、今後は変更届出で済む可能性があります。

 その他、これまで変更認定申請の対象であった「公益目的事業の一部の廃止」は届出化されます。

【2】提出・公表書類の見直し

 公益法人は現行制度において、事業計画・事業報告、財務諸表や財産目録等の一定の書類について、行政庁への提出、事務所での備置き、閲覧請求に応じる開示義務がありますが、今回の認定法の改正によりこれらの書類について可能な限り簡素化が図られるとともに、行政庁への提出書類は法令やガイドラインで具体的に記載し記載のないものは原則として求めないこととされます。

 また、改正認定法においては公益法人が提出した一定の書類のうち行政庁による「公表」についても定められております。これは国民によるチェック機能強化の観点から公益法人の透明性の向上をより一層図ることが目的です。

 法人による開示や行政庁による公表の対象とする情報については、具体的には下記のものが予定・検討されております。(カッコ内は現在の定期提出書類等の様式名)

・法人の基本情報(定期提出書類別紙2)

・公益目的事業の内容及び実績(申請書の別紙2及び定期提出書類の別紙3)

・財務規律に係る数値の明細(別表A~C)

・株式等の保有状況(別表D)

・経理的基礎の状況(別表E)

・役員報酬等(別表F(1))

・公益目的取得財産残額に係る明細(別表H)

 上記のうちこれまで別表A~Fに記載されていた情報については、改正後は財務諸表の注記や別の書類で代替して開示・公表することが検討されております。またこれまで別表Hで算定されていた公益目的取得財産残額に係る明細については、残額の算定方法自体を見直すため廃止される見込みです。役員報酬等の開示・公表については、現行の役員報酬規程に加え、新たに理事・監事等毎の(現行は「理事・監事等の」)報酬等の総額や、2,000万円以上の報酬・給与を受ける役員について金額及びその理由も追加されることが検討されています。

以 上

(公益法人チーム)

一覧へ戻る