2015.11.27
【連結納税/第14回】連結納税による確定申告の税金仕訳と単体申告法人による確定申告の税金仕訳
〈連結法人の法人税等〉
単体法人と連結法人では、会計上の税金仕訳が違ってきますので、今回はその相違点を解説します。
連結納税制度を適用している法人は、連結親法人が納税義務者となるため、連結所得にかかる法人税額を納税しなければなりません。
連結子法人は、連結法人税個別帰属額がプラスの場合は、連結親法人に対して連結法人税個別帰属額を支払うこととなり、逆にマイナス場合は、連結親法人から連結法人税個別帰属額の支払いを受けることとなります。
例1)算出された法人税額300・地方税額100とします。
<単体法人の場合>
税引前当期利益 1,000
法人税等 400
当期純利益 600
[仕訳]
- 法人税:法人税等 300 / 未払法人税等 300
- 地方税:法人税等 100 / 未払法人税等 100
単体申告では、このように起票しますので、よく見る仕訳だと思います。
例2)算出された法人税額600・地方税額100・法人税個別帰属額△300とします。
<連結法人の場合>
連結親法人(以下、P社とします。)
税引前当期利益 1,000
法人税等 400
当期純利益 600
[仕訳]
- 法人税:法人税等 600 / 未払法人税等 600
- 地方税:法人税等 100 / 未払法人税等 100
- 未収入金(連結子法人)300 / 法人税等 300
連結子法人(以下、S社とします。)
税引前当期利益 1,000
法人税等 400
当期純利益 600
[仕訳]
- 法人税:法人税等 300 / 未払金(連結親法人) 300
- 地方税:法人税等 100 / 未払法人税等 100
P社とS社の仕訳を見ると、見慣れない形になっています。
P社では、①連結所得に対する連結法人税額を計上します。次に、②において、S社が単体申告法人であったならば、負担するであろう連結法人税個別帰属額を未収入金として計上します。
<ポイント>
P社が納付すべき法人税額は未払法人税等とS社の個別帰属額を未収入金としてB/Sに計上され、P社に帰属する法人税額がP/L上に表示されることになります。
次に、S社では、法人税の個別帰属額を未払金として計上します。
地方税については、連結納税制度の概念が存在しませんので、各社ごとの所得金額、連結法人税個別帰属額から個別に計算することとなります。
このように、単体申告法人の場合と連結納税制度適用法人では、法人税等の起票の方法が若干異なってきます。
また、連結子法人が増えてくれば、連結親法人ではさらに仕訳が増えてきます。
連結親法人側で起票の際には、連結法人税個別帰属額一覧表を確認し、未収入金、未払金勘定では、補助簿を使用することで連結子法人各社の残高を正確に把握することが望ましいと言えます。
以上