2016.09.28
【連結納税/第18回】連結納税制度での交際費等の損金不算入
連結納税制度での交際費等の損金不算入額については、連結親法人の資本金の額に基づき連結グループを一体として計算します。そのため、「【第7回】連結納税のメリット・デメリット」でも記載したとおり、連結親法人の資本金が1億円超の場合、連結子法人が中小法人に該当しても、中小企業向けの特例措置は適用できないことになります。
【参考:中小企業向けの特例措置とは?】
交際費等の額は、原則としてその全額が損金不算入とされていますが、一定の期間は交際費等の額のうち接待飲食費の額の50%相当額を超える金額については損金不算入とされています。なお、期末の資本金の額が1億円以下の法人(非中小法人を除きます。)については、上記の接待飲食費の50%超損金不算入額に替えて特例措置(年800万円を超える交際費等の額を損金不算入とする措置)が設けられており、有利な方を選択適用できます。
【連結納税における交際費等の損金不算入額の計算】
損金不算入額の計算は、まず連結グループ全体で行います。その後、以下のとおり各連結法人の支出交際費等の割合で按分し、個別帰属額として各連結法人に配分します。
各連結法人が接待飲食費に係る帳簿書類への記載、整理・保存及び5千円基準の書類の保存については行いますが、連結親法人でそれらの額を集計し、損金不算入額の計算をします。
<ポイント!>
連結納税であっても、各連結法人における交際費等の範囲、考え方については連結前と変わりません。
【接待飲食費:連結納税対象法人の社員との飲食は?】
連結納税制度の適用を受けている各連結法人の社員との飲食であっても、相手方としては社外の者となることから、その者との飲食等に係る飲食費が社内飲食費に該当することはありません。
【グループ法人税制との違い】
連結納税制度の場合は、連結子法人が何社あっても連結グループ全体で年800万円までの控除しかありません。これに対してグループ法人税制では、単体課税になるので、年800万円までの定額控除限度額の損金算入制度は法人毎に計算できますが、親会社の資本金が5億円以上の場合には、子会社の資本金が1億円以下であっても年800万円の定額控除の適用がありませんので注意が必要です。
【自身の体験~交際費等~】
連結納税制度に限った話ではありませんが、顧問先の企業様に「5千円基準」及び「接待飲食費の損金算入」の認識について確認したところ、「社内飲食費」を含めてこれらを考えているケースがあります。いずれも得意先等との飲食に限るということで、「社外飲食費」に限定されています。
また、交際費等に係る控除対象外消費税についても、支出交際費等の額に加算にして損金不算入になりますので、失念しないように注意が必要です。なお、「接待飲食費の50%損金算入」の対象になった飲食費に係る控除対象外消費税も、「接待飲食費の50%損金算入」の対象に含めます。
以上