2018.06.05
どうしたら「利益を出し続ける」会社になれるのか
第3回 正義がない
「内外の法およびその精神を遵守し、オープンでフェアな企業活動を通じて、国際社会から信頼される企業市民を目指す」
「所期奉公(意味:事業を通じ、物心共に豊かな社会の実現に努力すると同時に、かけがえのない地球環境の維持にも貢献する)」
皆さんこれを読んで、どのように思われたでしょうか?
上にあるのはトヨタ自動車の企業理念、下にあるのは三菱商事の創業以来の企業理念である「三綱領」のそれぞれ第1項です。
どちらにも共通しているのは、「企業は社会の一員である」とともに、「それぞれの企業が、よりよい社会実現を目指して行動する」という精神です。
一企業がより良い社会実現を目指す必要があるのか? あまりに大上段に構えすぎているのではないか? 皆さんの中には、そう思われる方々もいらっしゃると思います。
またトヨタ自動車や三菱商事のような大企業だから社会性を考える必要があるので、うちのような中小企業には余裕がない。そこまで必要ない。 と考えられる方もいるかもしれません。
でも本当にそうなのでしょうか?
商売の基本は利益を出すことです。利益が無ければ企業を継続させていくことはできませんし、従業員を幸せにすることもできません。私は資金に詰まっている多くの会社を見ていますが、利益=資金を生み出すことは本当に重要です。
でもそれだけを考えるあまり、商売相手を騙したり、社会的に認められない商売に手を出すとしましょう。確かにこのような行為によって、一時的には利益はでるかもしれませんが、それは長続きするのでしょうか?
騙された相手は継続的には付き合ってくれないでしょう。また社会的に認められない商売を、継続的にかつ安定的に行えるとは思いません。訴訟や世の中の非難から怯えながら生活しなくてはならないのです。
さらに企業は人の集まりです。参加している従業員が、正義のない企業に安心してついてくるでしょうか?多くの従業員は、どうせ働くならお客さんに喜んでほしいと思うでしょうし、正義のない企業では働きたくないのではないでしょうか。
こうしたことを考えていくと、企業は社会の一員であることを考えて行動せざるを得ないのです。
「情けは人の為ならず」 = 「情け」をかけることは、人の為に行うのではなくて、いずれは自分に返ってくるのだから、人に「情け」をかけた方がよい、 ということわざがあります。
私は「企業に正義が必要だ」ということを考えるとき、このことわざを思い出します。
経営者はどうしても目先の利益や資金のことを考えがちです。それは当然のことですし、目先のことを考えない企業は成功しません。ただそれだけでも企業は継続して成長しません。商売は自分が儲けるために行っているのですが、商売相手がいるからこそ成り立っているのです。「情け」を商売相手にかけることは一見無駄に思えるかもしれません。でもそれは間違いだと私は思います。
商売を通じて「商売相手や社会を豊かにする」という正義をもつことが、自分の会社を良くする本道である。
自社が成功するために、経営者は社会の中での役割を考えて行動すべきですし、従業員にもその意識を共有することが重要であると私は考えます。
以上
【初掲載】
ウェブサイト 「イノベーションズアイ」 コラム 「どうしたら「利益を出し続ける」会社になれるのか」 (第3回) 2017年3月31日
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