2019.06.28
【連結納税/第37回】連結納税制度に関する税制改正の動向
日本における連結納税制度は平成14年度税制改正において導入され、平成15年3月期決算法人の適用に始まり今日に至りますが、その間にも連結納税制度に関する税制改正は今まで幾度となく行われてきました。
制度導入後の主な改正項目としては、平成22年度改正における連結子法人の連結開始前欠損金の持込制限の緩和(時価評価対象外法人について個別所得金額を限度として持込可)、平成29年度改正における連結開始・加入時の時価評価資産の対象から帳簿価額1,000万円未満の資産の除外(これにより自己創設営業権の時価評価が除外)がありました。
上記のように様々な税制改正が行われてきた中、2018年10月23日に開催された政府税制調査会の第19回総会において下記の議論が取り上げられました。
(1)連結親法人への情報や意思決定の集約を想定していた平成14年の創設当初の制度設計に |
そこで、連結納税制度を取り巻く状況の変化を踏まえた現状の課題や必要な見直しについて、今後の総会における議論の素材を整理する為、2018年11月7日に「連結納税制度に関する専門家会合」が設置され、第1回会合が開催されました。
当該会合は、田近栄治委員(成城大学経済学部特任教授)を座長とし、委員5名・特別委員3名・外部有識者5名から構成され、今まで3回(2019年6月14日現在)会合が行われました。
第1回会合では以下の2つの観点からの検討課題が挙げられました。
(1)事務負担の軽減を図る観点からの簡素化 (2)グループ経営の多様化に対応した中立性・公平性の観点からの見直し |
2019年2月14日に開催された第2回会合では、以下の報告等が行われました。
(1)有識者(経団連・日立製作所・国税庁法人課税課)から連結納税制度の現状等の報告
(2)財務省より制度の簡素化等について説明等
報告の中では、特に国税庁法人課税課より税務調査について下記の報告がありましたので一部紹介します。
・連結法人グループ内の各連結法人について、それぞれの所轄部署で個別に管理することに ・多数かつ国税局を跨って存在している連結子法人の全てを同時期に調査することは困難な ・調査結果を取り纏めた書類作成が、連結納税制度を適用していない法人に比べて事務量を |
また、財務省から事務負担の軽減を図る観点からの簡素化(案)として、下記の素案が挙げられました。
・連結グループ全体を一つの納税単位とする制度に代え、各法人それぞれを納税単位とする |
2019年4月18日に開催された第3回会合では、損益の配分方法や制度の濫用の事例、連帯納付責任、時価評価課税、欠損金の利用制限の見直し等について議論がされました。
・現行制度の個別帰属額の計算に近く、制度導入のコストが小さいものとして、各欠損法人の |
現時点では次回の開催日は未定ですが、今までの会合の資料等は下記のサイトにアップされていますので、こちらも併せてご参考までにご確認頂けますと幸甚です。
出典:内閣府 税制調査会「連結納税制度に関する専門家会合」各種資料
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/renketsu/2018/index.html(2018年度)
https://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/renketsu/index.html(2019年度)