2014.09.03
海外派遣社員と社会保障協定
ビジネスの国際化の進展にともない、日本企業が、自社の従業員等を海外派遣するケースが増加しています。このような中、日本企業としては、海外派遣社員が将来受給できる公的年金額の目減りを防ぐため、その海外派遣期間中、日本と外国の公的年金制度に二重に加入することを余儀なくされる場合があります。また、公的年金制度に加入するということは、日本のみならず外国においても、その海外派遣社員にかかる保険料のうち一定割合を日本企業が負担することになるため、日本企業にとっては思わぬコスト増につながる可能性があります。
このような海外派遣にともなう問題をあらかじめ回避する手段として、日本が外国と締結している社会保障協定の適用可能性を検討する必要があります。社会保障協定は、①日本と外国との間の保険料の二重負担の調整を図ること(二重加入の防止)や②加入期間が短いため年金の受給資格を得られず保険料が実質的に掛け捨てになることを防止するとともに両国の加入期間を通算できるようにすること(年金加入期間の通算)を目的として、外国との間で締結が進められています。日本では、平成26年1月までに欧米諸国を中心として以下の15か国との間で協定が発効されています。
ドイツ・イギリス・韓国・アメリカ・ベルギー・フランス・カナダ・オーストラリア・オランダ・チェコ・スペイン・アイルランド・ブラジル・スイス・ハンガリー
(追加 インド・ルクセンブルク・フィリピン H30.8現在)
また、昨今の日本と新興国との経済協力関係の進展にともない、これら新興国との間でも社会保障協定の締結をすすめられており、東南アジア諸国についてはフィリピンと現在交渉中のようです。*1
なお、社会保障協定の内容は、協定の相手国ごとにその内容や取扱いが異なる場合がありますので、事前に日本年金機構のホームページなどで確認することが必要です。
(Y.M.)
以上
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