2024.10.31
<2024年10月>社団・財団通信_「理事の役割・責任、公益法人の外部理事」
令和7年度から実施される公益法人制度改革により、公益法人には新たに外部理事の要件が加わりました。その内容を含め、今回は社団・財団の理事の役割等について改めて確認します。
【1】理事の役割
理事の役割は理事会の設置の有無によって異なります。一般社団法人については理事会の設置は任意ですが、公益社団法人と公益財団法人、一般財団法人については理事会の設置が義務付けられております。理事会を設置しない一般社団法人の場合、理事は定款に別段の定めがある場合を除き業務を執行して法人を代表します。理事が複数いる場合には、原則として理事の過半数をもって業務を決定し、それぞれの理事が法人を代表します(定款等により代表理事を定めることも可能)。理事会設置法人では理事の中から代表理事や業務執行理事を選定して、業務執行を行います。
理事は社団法人では社員総会の決議により、財団法人では評議員会の決議により選任されます。なお理事の人数は理事会を設置しない一般社団法人の場合は1人以上、理事会設置法人については3名以上です。また理事の任期は原則として2年以内となっております(短縮は可能)。
【2】理事の損害賠償責任
法人と、理事を含む役員等との関係は、民法の委任に関する関係に従うことになります。役員等は任務を怠ったときは、その法人が被った損害に対して賠償責任を負うことになります。さらに理事は競業取引や利益相反取引の制限を負っており、理事がこれらに違反して行った取引により理事や第三者が利益を得たり法人が損害を被った場合、その理事等が法人に対して与えた損害と推定されます。
なお、上記の役員等の損害賠償責任は、社団法人の総社員(財団法人の場合は総評議員)が同意した場合は免除することができるとされております。また、社団法人の社員総会(財団法人は評議員会)の決議や、一定の条件を満たす場合の理事会決議によって、損害賠償責任の一部を免除することができます。
上記の他、役員等の職務にあたり悪意や重大な過失があった場合等は、その役員等は当該行為により第三者に生じる損害賠償責任を負うことになります。
【3】公益法人の外部理事要件
今回の公益法人制度改革において、公益法人の認定要件としていわゆる「外部理事」の要件が加えられました。制度改正後は公益法人はその理事のうち最低1人以上を以下の要件を満たす外部理事とする必要があります。
【外部理事の要件】
公益法人の理事のうち最低1人以上を、現在及び過去10年間でその法人又は子法人において下記のいずれの立場等にもなかった者とすること。
・業務執行理事
・使用人
・社員(当該法人が社団法人の場合に限る。社員が法人の場合はその法人の役員及び使用人)
・評議員(当該法人が財団法人の場合に限る。評議員が法人の場合はその法人及びその子法人の役員及び使用人)
外部理事の要件は、改正認定法の施行開始時において在任している全ての理事の任期が満了する日の翌日までに充足する必要があります。ただし、公益法人のうち直近事業年度の収益の額及び費用・損失の額がいずれも3,000万円未満である小規模法人については外部理事の要件は不要とされております。
ちなみに今回の改正により公益法人においては理事のみならず監事についても、最低一人以上のいわゆる外部監事の設置が義務付けられております。
以 上
(公益法人チーム)