2016.11.28
【連結納税/第20回】連結納税における全体計算の流れ
第6回や第7回などでも連結納税全般におけるお話でしたが、今回は連結納税における全体計算の流れについて書いていこうと思います。
連結納税に限ったことではありませんが私自身も、全体像というものが把握できていないと自分が何をやっているのかわからなくなってしまいます。
これから連結納税制度の適用を検討中の方は是非、以下の内容をご覧いただき全体像を把握した上で、連結納税制度の導入をご検討いただければと思います。
<ポイント1>個社毎に行う計算と全体で行う計算がある!
減価償却費の償却限度超過額や貸倒引当金の繰入限度超過額の調整は個社毎に行いますが、受取配当等の益金不算入の計算や寄附金、交際費等の損金不算入の計算、連結欠損金の損金算入の計算などは全体で計算が行われます。
そのため、下記の図のように、まず個社毎の所得計算が行われ、その後所得の全体計算が行われます。
<ポイント2>税額控除にも個社毎で計算するものと全体で計算を行うものがある!
所得の全体計算が行われた後は個社毎の税額計算が行われます。
税額計算についても、生産性向上設備に係る特別控除などの個社毎に行う税額控除と、所得税額控除や試験研究費に係る税額控除など全体で行う税額控除があります。
これらの税額控除の後、個社毎の連結法人税額(個別帰属額)が決まります。
ここまでの計算により初めて、個社毎の連結法人税額が確定します。
1点気を付ける点として、仮にその個社において全体計算に関する項目がない場合でも、全体計算に必要な項目はその情報を提供する必要があります。
例えば、受取配当等の益金不算入制度の適用を受ける場合は、配当等の額が無い場合でも全体計算を行うため、関連法人株式等に該当する株式を持っていない場合であっても、負債利子の額や総資産簿価の情報を提供する必要があります。
以上