2016.12.28
【連結納税/第21回】連結子法人の離脱①
今回は、連結法人グループから連結子法人が離脱する場合における取扱いについて説明したいと思います。
<連結子法人が離脱する場合>
連結子法人が、離脱する場合として下記の様な状況が考えられます。
① 国税庁長官の職権によって連結納税の承認の取り消しが行われる場合
② 連結子法人が解散する場合
③ 連結親法人と連結子法人との間に完全支配関係がなくなった場合
上記の①は、連結子法人の連結事業年度に係る帳簿書類の不備がある場合、取引の隠蔽や仮装取引がある場合に、国税庁長官の職権で連結納税の承認を取り消すことができます。
上記の②・③は、連結子法人が合併や破産手続開始の決定により解散する場合や、連結親法人の100%子法人でなくなった場合において、自動的に連結納税の承認が取り消されたものとみなされます。
<提出が必要な届出等>
連結子法人が、離脱する場合に提出すべき届出については、上記①と②・③の場合で異なります。
上記①の場合、連結子法人は連結納税の承認取り消しの通知を受けることになり、連結親法人は「連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類」を提出しなければなりません。
上記②・③の場合、自動的に連結納税の承認が取り消されたものとみなされる連結子法人と連結親法人は、「連結完全支配関係等を有しなくなった旨を記載した書類」を、遅滞なく、各々の所轄税務署に提出しなければなりません。
<離脱した連結子法人の申告について>
連結子法人が連結納税から離脱した場合は、期首から離脱日の前日までのみなし事業年度について申告する必要があります。
この場合は、他の連結法人の事業年度と一致しませんので一緒に申告することはできません。
このような、離脱法人のみなし事業年度の申告については、原則として単体申告の規定が適用されますが、下記の一部の規定は連結納税グループ内の法人として連結法人特有の取扱いを受けます。
■貸倒引当金
⇒個別評価金銭債権、一括評価金銭債権から連結法人に対する金銭債権を除きます。
また貸倒実績率の計算過程で連結法人に対するものを除きます。
■受取配当金の益金不算入
⇒関連法人株式又は非支配目的株式の判定にあたり、連結完全支配関係のある法人の所有株数を
合算して判定します。
■所得税額控除(個別法)
⇒配当計算対象期間中に他の連結法人から元本の譲渡を受けた場合、所有期間を通算します。
その他の規定については、単体申告の規定が適用されることになります。
以上