2018.08.28
【連結納税/第33回】~連結納税制度とグループ法人税制との比較~
~連結納税制度とグループ法人税制との比較~
完全支配関係を有する法人において適用することができる制度として連結納税制度があり、連結納税制度を適用していない法人に対してはグループ法人税制が適用されます。
両制度は、同時に適用されることはなく、いずれかの制度が適用されることになりますが、連結納税制度とグループ法人税制では主に以下のような相違点等があります。
当ブログの過去掲載記事(【連結納税/第7回】連結納税のメリット・デメリット)と併せて連結納税制度の導入を検討される際は、参考にして頂ければと思います。
相違点 |
連結納税制度 |
グループ法人税制 |
対象法人 |
完全支配関係がある連結親法人と連結子法人(内国法人である親法人を頂点としてその親法人が直接又は間接に100%の持分を有する完全支配関係を有する内国法人である子法人が対象となります。) |
一の者との間に完全支配関係がある法人(直接又は間接に100%の持分を有する内国法人が対象となりますが、個人又は外国法人を通じた100%持分保有の会社も対象となります。) |
制度の適用 |
承認申請による選択適用となります。ただし、一旦選択した場合は、継続適用となります。 |
100%グループ内の法人間の取引について強制適用となります。 |
申告・納付 |
連結親法人が申告・納税を行います。(連結子法人は連帯納付責任を負い、個別帰属額等を記載した書類を税務署に提出します。) |
各単体法人が申告・納税を行います。 |
中小企業の特例 |
連結親法人の資本金が1億円超の場合適用外となります。 |
自らの資本金等が1億円超もしくは親法人の資本金が5億円以上の場合は適用外となります。 |
損益通算 |
連結親法人と連結子法人の課税所得を合算して連結所得を計算するため、連結法人間において損益通算が行われます。 |
各単体法人での申告のため、100%グループ内の法人間であっても損益通算は行われません。 |
適用開始・加入時の時価評価 |
適用開始又は加入の際しては、当該法人の資産を時価評価し、評価損益を計上します。(ただし、一定要件を満たす連結子法人、一定の要件を満たす資産は時価評価の対象から除かれます。) |
― |
資産の譲渡取引等 |
譲渡損益調整資産の規定の適用があります。(同一制度) 具体的には、譲渡法人側において、譲受法人側で譲渡、償却等を行うまで譲渡損益の繰延べを行います。 |
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100%グループ内の法人間の寄附に伴う調整 |
<寄附側の法人> 寄附金は全額損金不算入 <受贈側の法人> 受贈益は全額益金不算入 |
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<法人株主> - |
<法人株主> 寄附修正(完全支配関係がある法人間(法人による完全支配関係に限る)で寄附が行われた場合には、株主である親法人において、その額に応じて利益積立金額を調整するとともに、子法人株式の帳簿価額を修正します。) |
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受取配当等の益金不算入制度 |
連結グループ全体で益金不算入額の計算を行います。 |
単体法人ごとに益金不算入額の計算を行います。 |
貸倒引当金 |
連結法人ごとに損金算入限度額の計算を行います。 ただし、連結グループ内の法人に対する金銭債権は計算対象から除かれます。 |
単体法人ごとに損金算入限度額の計算を行います。 |
交際費等の損金不算入制度 |
連結グループ全体で損金不算入額の計算を行います。 |
原則として、単体法人ごとに損金不算入額の計算を行います。 |
税額控除 (所得税控除・外国税額控除・試験研究費等) |
連結グループ全体で控除税額の計算を行います。 |
単体法人ごとに控除税額の計算を行います。 |
以上