2018.09.28
【連結納税/第34回】連結法人の寄附金の損金不算入額及びその個別帰属額の計算
当ブログ第26回では、「連結法人間での寄附金・贈益」について取り上げましたが、
今回は、連結グループ以外の法人等に対して寄附金を支出した場合の取扱いについて、説明します。
【概要】
1.法人が支出した寄附金のうち、国等に対する寄附金及び指定寄附金は、全額が損金の額に算入されますが、
特定公益増進法人等に対する寄附金及び一般寄附金のうち、損金算入限度額を超える部分の金額は、損金の額に算入されません。
2.連結納税おける寄附金の損金不算入額は、連結グループ全体で計算します。
3.損金不算入額の個別帰属額は、連結グループ全体の寄附金の損金不算入額を、
各連結法人が支出した寄附金の額に応じて按分計算します。
4.連結法人が、法人による完全支配関係がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額は、
損金の額に算入されません。
5.平成28年税制改正により、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)が創設され、従来の損金算入のほか、
税額控除が適用できることとなりました。
【寄附金の範囲】
連結納税であっても、各連結法人における寄附金の範囲については、単体納税と同様となります。
【連結法人の寄附金の損金不算入額及びその個別帰属額の計算】
1.損金不算入額
(1) 特定公益増進法人等に対する寄附金
(2) 一般寄附金
(注)その連結事業年度の連結所得の金額とは、別表4の2の「連結所得金額仮計(34欄の①)」の金額に、連結法人がその連結事業年度において支出した寄附金の額の全額を加算した金額をいいます。
2.損金不算入額の個別帰属額
次の(1)と(2)の合計となります。
(1) 連結グループ外への寄附金
A :連結グループ全体の支出寄附金総額
A’:各連結法人の支出寄附金総額
B :連結グループ全体の国等に対する寄附金及び指定寄附金の支出額
B’:各連結法人の国等に対する寄附金及び指定寄附金の支出額
C :連結グループ全体の特定公益増進法人等に対する寄附金のうち、損金算入額
D :連結グループ全体の特定公益増進法人等に対する寄附金の支出額
D’:各連結法人の特定公益増進法人等に対する寄附金の支出額
(2) 連結グループ内の法人に対する寄附金
各連結法人の寄附金の支出額の全額が、その連結法人の個別帰属額となります。
【地方創生応援税制】
平成28年税制改正により、地方公共団体が行う地方創生事業に対して一定の寄附金(特定寄附金)を支出した場合、寄附金額の一部を税額控除する制度(企業版ふるさと納税)が導入されました。
※地方交付税の不交付団体であって、東京圏・近畿圏中心部・中部圏中心部にある団体及び自社の本社が所在する団体に対する寄附は、対象となりません。
※地域再生法の一部改正法施行日(平成28年4月20日)から平成32年3月31日までの間に支出する寄附について適用されます。
(出典:財務省平成28年税制改正)
各税目における税額控除額は、下表のとおりです。なお、控除限度額に達したため、法人住民税から控除しきれなかった金額がある場合は、法人税額から寄附金額の10%(法人税額の5%が上限)が控除されます。
連結納税適用法人においては、事業税及び住民税からの税額控除額は各連結法人ごとに計算し、連結法人税からの控除額は、連結グループ全体で計算します。
税目 |
計算単位 |
税額控除額 |
事業税 |
法人 |
特定寄附金額×10%(事業税額の15%を上限) |
住民税 |
法人 |
特定寄附金額×20%(住民税額の20%を上限) |
連結法人税 |
連結 |
各連結法人ごとに以下のいずれか低い金額を連結グループ全体で合計した金額 ①連結法人の特定寄附金額×20%-連結法人の住民税額の20%相当額(連結法人の特定寄附金額の10%を限度) ②連結法人の法人税額基準額※ |
※ 法人税額基準額とは、次の①又は②のうちいずれか少ない金額となります。
以上